米国のトランプ政権が、シリアのアサド政権軍に対してミサイル攻撃に踏みきった。突然の事態に、現地で支援活動などに関わってきた人たちは不安を募らせた。
米、シリア基地にミサイル発射 空軍施設などに50発
特集:シリア情勢
シリアへの留学の経験があり、2012年から隣国ヨルダンを訪れてシリアの難民支援をしてきた訪問看護師の田村佳子さん(37)=千葉県南房総市=は「言葉にするのもつらい。軍事的な方法で解決しようとする世界の流れにがっかりしている」。田村さんは昨年末にも息子を連れてヨルダンを訪れ、支援をしてきたばかり。「シリアの内戦は国際社会の利害に翻弄(ほんろう)されてきた。国際社会のトップが話し合えば解決するのに」と言葉を詰まらせた。
田村さんは、青年海外協力隊などで活動したことのある有志を中心に結成され、シリア難民を支援する日本の支援団体「サダーカ」でも活動してきた。
国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」でシリアの子どもたちへの支援に関わってきた藤井麻衣子・海外事業部緊急人道支援マネジャーは「現地では最悪とも思える状態がさらに泥沼化し、悪化する状況が続いてきた。国際社会への期待が何度も裏切られ、日常的に爆撃にさらされる人たちにとって、爆撃は精神的なダメージも大きいだろう」と指摘する。「日本政府にも、人道支援にさらに資金を出すなど果たせる役割がある。日本では遠い国の話のように感じられるが、現地の状況に関心を持つことで、日本政府を動かすことにもつながる」と話した。