反体制武装勢力とアサド政権軍の間で激しい戦闘があったダマスカス東郊のジョバル地区。19日、空爆などで煙が立ち上がった=AFP時事
内戦が続くシリアの首都ダマスカス東部の旧市街に近いジョバル地区で19日、反体制武装勢力がアサド政権軍の拠点を急襲し、政権軍が空爆で応じるなどして激しい戦闘となった。在英NGO「シリア人権監視団」によると20日までに反体制派戦闘員と政権軍兵士の計47人が死亡した。シリア国営通信は20日、政権軍は反体制派を撃退したと伝えた。
反体制派は実効支配していた同国北部のアレッポ東部を失うなど劣勢が続いているが、首都で政権軍を急襲できるだけの戦闘力を保持していることを示した格好だ。今月23日にジュネーブで再開する予定の和平会議にも影響しそうだ。
ジョバル地区は、反体制派と政権の各支配地に分断されている。約1・2キロ南西にはダマスカス旧市街が広がり、世界的に有名なウマイヤド・モスクやスーク(市場)がある。反体制派武装組織「自由シリア軍」とイスラム過激派組織「シリア解放委員会」(旧ヌスラ戦線)は19日、政権軍が拠点とするジョバル地区の建物や交差点などを急襲。衛星テレビ局アルジャジーラによると、自動車爆弾や自爆攻撃が行われた。政権側支配地への侵入には地下トンネルも使われたという。政権軍は25回以上の空爆で反撃した。(カイロ=翁長忠雄)