国連安全保障理事会の緊急会合で、幼児が横たわる写真を掲げて「行動」を求める米国のヘイリー国連大使(国連提供)
シリア北西部イドリブ県での空爆で化学兵器が使われたとみられる問題について、国連安全保障理事会は5日午前(日本時間同日深夜)、緊急会合を開いた。真相解明を求める米英仏は、シリア領内での徹底した調査権限を国連などに与える決議案の採択をめざしたが、アサド政権を支えるロシアが反発し、この日の採決は見送られた。米国は決議無しでの独自行動を示唆した。
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米英仏は攻撃を非難。真相解明を求める決議案を加盟国に配布し、採択をめざしている。国連関係者によると、決議案は、化学兵器禁止機関(OPCW)や国連による調査を支持した上で、シリア政府に、空爆当日の飛行計画や記録、ヘリコプター部隊の指揮官の名前の提出、調査チームの空軍基地への立ち入り許可などを義務づけている。
英国のライクロフト国連大使は「化学兵器使用を非難する誰もが賛成できる」と記者団に早期採択への期待を語ったが、ロシア外務省は「受け入れられない」と反発。ロシアのサフロンコフ次席大使も緊急会合で「自分で書いた文面をチェックしたか? 即席で作ったものだ」と反対姿勢を明確にした。
そのため採決は見送られ、水面下の交渉に入った。フランスのデラットル国連大使は、交渉に要する時間を答えるのは「不可能」と記者団に述べた。
一方、米国のヘイリー国連大使…