満開を迎えた一心行の大桜=13日午後3時19分、熊本県南阿蘇村、福岡亜純撮影
熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県南阿蘇村で、樹齢400年以上と言い伝えられる「一心行(いっしんぎょう)の大桜」が満開になり、13日、多くの観光客でにぎわった。15日まで、午後7~9時の間、ライトアップされる。
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隣の山都町に住む女性(48)は、小学5年生の息子(10)の代休を利用して4年ぶりに2人で訪れた。「地震の影響が心配だったが、咲いたのを見て感激もひとしお」と話した。
南阿蘇桜さくら植木まつり運営委員会によると、今年は過去数十年間で最も満開が遅れた。天候不順や交通事情の悪さも重なり、桜のある一心行公園を訪れる観光客の出足は例年の半分程度だったが、週末まで人出が見込めそうだと言う。
運営委事務局の福本茂信さん(67)、るみ子さん(64)夫妻は、地震で南阿蘇村の自宅が半壊し、1カ月近く、所有していたプレハブ小屋や乗用車で家族6人が過ごした。まつり会場に毎年出店している飲食店や植木店の中にも、被災して再開できず今年の出店を断念した店もある。茂信さんは「来年はまたみんなで出店してほしい」と話した。
村のホームページによると、一心行の大桜は、高さ14メートル、東西21・3メートル、南北26メートル、幹の周囲7・35メートル。江戸時代、戦死した矢崎城主・伯耆守惟冬(ほうきのかみこれふゆ)やその家臣を、この桜を菩提樹(ぼだいじゅ)にして一心に弔ったことに由来するという。(東野真和)