熊本地震の家屋倒壊現場で警察が救助活動にあたった人のうち、8割近くは1階部分に閉じ込められていた。警察庁が13日、調査結果を発表した。
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警察は111カ所で救助活動を実施。そのうち、警察が主導した熊本県益城町や南阿蘇村などの民家やアパート39カ所の倒壊現場の状況を分析した。
39カ所で救助したのは60人で、うち42人が生存、18人が心肺停止(のちに死亡確認)だった。年齢別では、80代の20人が最多で、60代12人、50代8人、70代と20代以下7人の順。60代以上で7割を占めた。
いずれも木造2階建てで、全てで1階部分が崩壊。78%の47人が1階居室に閉じ込められ、16人が心肺停止だった。39カ所中12カ所で2階も崩れたが、2階居室にいた1人は無事だった。閉じ込められた空間はほとんどの人が高さ75センチ未満の狭さだった。
救助した60人のうち、梁(はり)や天井、家具などの圧迫物に挟まれていたのは40人。圧迫物を持ち上げたり切除したりといった従来の方法に加え、下部に押し下げて空間を確保する方法が有効だと分かったという。
1階で閉じ込められた人が多い点を警察庁は「被災者の多くを占める高齢者は1階で生活していたとみられるほか、2階で被災した場合は2階部分がつぶれず、脱出や救助できたからではないか」と分析。「2階の方が閉じ込められにくいことがデータとして裏付けられた」としている。
警察庁は調査結果を今後の訓練に活用するほか、消防など関係機関と共有する。警察庁のウェブサイトでも公開している。(編集委員・吉田伸八)