シリアのアサド政権軍は13日、米軍主導の有志連合が12日に東部デリゾール県にある過激派組織「イスラム国」(IS)の拠点を空爆した際、有毒物質が拡散し、吸入した多数の住民らが死亡したと発表した。シリアの国営通信が報じた。政権軍はISなどの過激派組織が化学兵器を保有している証拠と主張している。
シリアの国営通信によると、空爆があったのは現地時間の12日夕。空爆を受けた一帯で、有毒物質を含む黄色の煙が立ち上り、吸入した数百人が死亡したとしている。ただし同通信は、有毒物質の種類や死傷者の具体的な人数などは報じていない。
これに対し、有志連合の報道官は13日、シリアの国営通信の報道は「捏造(ねつぞう)だ」と否定するコメントをツイッターに投稿。ISも、シリア内戦を監視するNGOも、13日午後現在、この被害を認める声明を出していない。
シリアでは、4日に北西部イドリブ県で化学兵器が使われた疑いのある空爆があり、100人以上が死亡した。米国はアサド政権による攻撃と断定し、シリア時間の7日未明、政権軍の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。トルコ政府は被害者の遺体の血液などを調べた結果、猛毒物質サリンの使用が確認されたと発表している。
一方、アサド政権側は一貫して関与を否定している。(ダマスカス=小森保良、イスタンブール=其山史晃)