京都市が宿泊施設の営業解禁を想定する左京区の大原地区=昨年12月、増谷文生撮影
外国人観光客らの増加によるホテル不足にともない、京都市は三千院で知られる山あいの大原地区(左京区)などで、これまで制限していた宿泊施設の営業を解禁する。門川大作市長が24日の会見で、「上質な宿泊施設」を積極的に誘致する特例措置を5月から始めると明らかにした。
大原さとあるきMap
解禁が想定されるのはほかに市西部の丘陵地・大原野(西京区)、市南部の工業地域「らくなん進都」。
市は2021年度末までの約5年間に出された計画を、地元産食材の積極活用や景観への配慮などの点から外部識者を交えて評価。長期雇用を生み、地元が活性化すると認められる場合は、都市計画法などで宿泊施設は営業できない住居専用地域や市街化調整区域などでの営業を認める。
市は、15年に過去最高の316万人だった外国人宿泊者が、20年に440万人に増えると予測。市内の主要33ホテルの稼働率は16年で89・1%に達した。門川市長は「(新制度では)ポリシーを持ち、地域特性と調和した施設を整備していく」と述べた。
市は誘致したい宿泊施設の例として、古民家を活用した宿泊型レストランのオーベルジュ、国際会議や企業の展示会場に使えるMICE施設などを想定。オーベルジュは大原や大原野といった山間地域、MICE施設は京セラ本社などがある「らくなん進都」など市南部の工業地域などでの解禁を念頭に置く。
地元の反対や住民とのトラブルも想定。市は計画の早い段階から住民の要望を聞くなど、事業者と住民の橋渡しもするという。(佐藤秀男)