中国の1~3月期の財政支出が収入を上回り、第1四半期としては1995年以来の赤字になった。経済成長をてこ入れするため、インフラ投資を増やすなど財政出動で景気を刺激した結果だ。ただ、経済安定を好感した民間企業が投資を増やしたことから、「景気刺激策はいらなかったのでは」との見方も出ている。
財政赤字額は1551億元(約2兆5千億円)で、年初から財政赤字になるのは珍しい。3月に日本の国会に当たる全国人民代表大会で、李克強(リーコーチアン)首相は今年の財政政策を「より積極的にする」と表明。企業減税やインフラ投資などを念頭に年間の赤字額を前年から2千億元増やし、2兆3800億元にするとしていた。
ところが、1~3月期の国内総生産(GDP)は実質で前年比6・9%増と年間目標の6・5%前後を大幅に上回った。民間企業による投資が戻ってきたため、政府のインフラ投資が景気を想定以上に良くした。
中国の成長は鈍化しつつあるが、景気が良すぎると、鉄鋼や石炭産業など過剰生産業種での整理が進まなくなる懸念がある。李首相自身、財政政策について「決して大量の水を流し込むような刺激策はとらない」と説明しており、さじ加減が課題になりそうだ。(北京=福田直之)