日本郵政は25日、2017年3月期決算で400億円の純損失を計上する見通しになったと発表した。買収した豪州子会社の業績が低迷したことで、子会社の資産価値を約4千億円切り下げる「減損処理」に踏み切るため。純損益の赤字は07年10月の郵政民営化以来初めて。
日本郵政、誤算の買収 豪子会社巡り巨額の損失計上へ
日本郵政はこれまで17年3月期の純損益を3200億円の黒字と予想していたが、大幅に下方修正する。減損の対象となるのは15年に6200億円で買収した豪州の物流大手「トール」。資源価格の下落や中国、豪州経済の減速などの影響で17年3月期のトールの営業損益が前年実績を大きく下回ったという。
経営改善策として、今年1月にトール経営陣の刷新に踏み切ったほか、3月末までに管理職を中心に300人超の正規職員の削減を実施。17年度中にさらに1700人の正規職員を減らす予定だとしている。
■長門社長「見通し甘かった」
日本郵政の長門正貢社長は25日の記者会見で、2017年3月期決算の純損益が民営化後初の赤字に転落することについて「重く受け止めている」とした上で、「買収の意思決定の過程で、豪州経済の見通しに対する評価や見通しが甘かったとの見方は否定できない」と述べた。
一方、「国際物流強化という買収の狙いは正しかった」とも述べた。「最大限の減損を計上することで負のレガシー(遺産)を断ち切り、攻めの経営のスタートラインに立つ」と述べ、経営への影響は拡大しないとの考え方を強調した。