譲さんの手書きの原稿を読む母親の浅井道子さん。霊前には友人からの寄せ書きなどが並ぶ=23日、栃木県那須塩原市、吉田貴司撮影
栃木県那須町で高校生ら8人が犠牲となった雪崩事故から27日で1カ月。長男の浅井譲(ゆずる)さん(17)を亡くした母道子さん(51)は、譲さんが書きためていた読書リストを葬儀後に見つけ、1冊ずつ読み始めた。「譲の気持ちに近づけるかな」と思いながら。
県立大田原高校の山岳部員だった譲さんは、同校の生徒6人と引率教諭1人とともに、命を落とした。
3月30日に葬儀が終わると、道子さんは譲さんの部屋に入った。事故に遭った講習会がどんなものだったのか、何か資料はないか。机の上には献血のときにもらった栄養補助食品、ゴミ箱にはこっそり食べたお菓子の小袋。部屋は譲さんがいたときのままだった。
手書きのノートやプリントも残っていた。高校での読書会の感想を記した原稿用紙には「自分の意見を他人に伝えることも大切」という思いがつづられていた。昨年の夏休みの読書課題では夏目漱石の「こころ」を読み、生きることの大切さを記していた。見慣れた文字は、譲さんが生きていた証しだった。
手のひらサイズのメモ帳が、学…