スウェーデンの首都ストックホルム中心部で7日に起きたテロ事件に関し、警察は同日、4人が死亡、15人がけがで病院に搬送され、うち9人が重傷と発表した。事件への関与が疑われる男2人をストックホルム郊外で逮捕した。
事件は7日午後3時(日本時間7日午後10時)前、ストックホルム最大のショッピング街で起きた。公共放送SVTなどによると、トラックが買い物客でにぎわう歩行者専用道を500メートル以上にわたって猛スピードで南へ暴走。通行人をはね、老舗デパート1階に突っ込んで止まった。「ジグザグ走行していた」との目撃情報もある。実行犯はトラックを乗り捨て、現場から逃走した模様だ。
犯行に使われたトラックは大手ビール会社の所有で、現場近くで荷下ろしのため運転手が車外に出ていた間に盗まれた。運転手は犯人に抵抗し、襲われて軽傷を負ったという。地元メディアが伝えた目撃者の話では、トラックはいったん走り去った後、戻ってきて歩行者専用道に入り込み、暴走を始めたという。
警察は7日、事件に関与した疑いで監視カメラに映った男の顔写真を公開し、行方を追っていたが、同日夜(日本時間8日未明)、ストックホルム中心部から約40キロ離れた郊外でこの男とみられる1人を逮捕した。夕刊紙「アフトンブラーデット」は、逮捕された男は39歳のウズベキスタン人で、フェイスブック上で過激派組織「イスラム国」(IS)への共感を表明していたと報じた。またSVTによると、別の男1人をストックホルム北部ユールスタで逮捕した。ただ、この2人がトラックを暴走させた実行犯かは不明。今回のテロに関する犯行声明などは確認されていない。
ロベーン首相は同日、現場近くにバラの花束とキャンドルを手向け、「テロの狙いは民主主義を阻害することだ。だがスウェーデンでこのような試みは成功しない」と話した。犠牲者を悼み、8日は官庁や議会に半旗を掲げる。(ストックホルム=渡辺志帆)