「GINZA SIX」が開業し、にぎわう銀座
買い物客でにぎわう東京・銀座に、国内の腕時計メーカーが相次いで直営店を出している。狭いエリアに海外の高級腕時計の店が続々と集まり、今や世界でも例を見ない腕時計の激戦区になっているからだ。日本ブランドの戦略は――。
シチズン時計は、銀座6丁目にできた商業施設「GINZA SIX」(ギンザ・シックス)に、世界初となるグループの直営店をオープンした。4月20日の開業日に早朝から並んだお客の目当ては、世界で最も薄い光発電時計「エコ・ドライブ ワン」の限定セット(税抜き75万円)。わずかな光で発電するので電池交換がいらず、厚さ1ミリしかない駆動部分に85個の極小部品を納めた。
現状の「ブランド力」はロレックスやオメガなど海外勢に及ばないが、省エネなど最先端の「技術力」なら十分勝算がある。シチズンは高機能の腕時計が人気を集め、平均単価はこの十数年で2~3倍に。国内売り上げは右肩上がりだ。広報担当者は「世界中のお客が集まる銀座で、ハイスペックな時計の価値を体感してもらいたい」と語る。
セイコーウオッチは2015年7月、銀座7丁目に国内初の路面店「プレミアムブティック」を出店。グランドセイコーなど高級モデル約300点を扱う。ジャズが流れる店内にゆったりとした応接スペースを設け、「現代の名工」が手作りした3千万円台までの時計を陳列するなどブランドの高級感を表現。約半数が外国人客で「ここに来るために来日した」というファンもいるという。さらに今回、GINZA SIX内にも「セイコーブティック」を設けた。
カシオ計算機も「東急プラザ銀座」内に、若者を中心に世界的な人気がある「G―SHOCK」の専門店を昨年3月に開業。外国人観光客だけでなく、高年齢層や富裕層もターゲットだ。高級素材を使った、10万円を超える高額モデルが売れているという。メンテナンスブースを設け、アフターサービスを強化することで満足度を高め、息の長いファンを育てる戦略だ。
世界の腕時計市場は、オメガな…