教育無償化をめぐる対立
教育を無償にする議論が政権内で本格化してきた。安倍晋三首相が改憲項目として検討する考えを示したこともあり、自民党の文教族を中心に実現をめざす動きが強まっている。だが、無償化の対象や財源をめぐって意見が割れており、実現の道筋は見えない。
「(教育)無償化ということを(憲法に)書くには担保が必要。党内でしっかり議論していきたい」
自民党の下村博文幹事長代行は12日の記者会見でこう述べ、教育無償化の具体案をめぐる議論を加速させる考えを示した。
すでに、下村氏ら文部科学相の経験者を中心に党内に「特命チーム」を発足。2月から無償化の対象や財源を検討している。今月中にも提言をまとめ、政府の「骨太の方針」に盛り込むよう申し入れる考えだ。
大学や専門学校などの高等教育から小学校入学前の幼児教育までの無償化や大幅な負担軽減を検討しているが、最大のハードルが財源だ。文科省の試算では年間4兆円超の財源が必要になる。
そこで浮上しているのが、教育に使い道を絞って発行する「教育国債」だ。教育を「未来への先行投資」と位置づけ、国が借金をしてでも教育に力を入れれば、優秀な人材が増え、将来の税収増で元がとれるという考えが背景にある。
旗振り役の下村氏は「(財源を)文科省の中から持ってきたのではとても足りない。教育国債も一つの大きな選択肢」と話す。特命チームでは、教育国債に加え、将来の消費税や所得税などの増税を組み合わせた財源確保を探る。
これに反対するのが、小泉進次郎氏ら若手議員を中心にしたグループだ。小泉氏は「『未来への投資』と言ったら、全分野から国債を発行してくれという議論が出てくる」と反発。対案として、自ら事務局長を務める委員会で検討しているのが「こども保険」だ。
現役世代が負担している社会保…