フィリピンの首都マニラの貧困街で、医師が女性の腕に避妊用インプラントを挿入した。1千人以上の市民に無料で避妊具を提供する国連のキャンペーンの一環。2012年撮影=ロイター
人口が増加し続けるフィリピンで、「皮下インプラント」と呼ばれる避妊方法の使用を再開するかどうかが大きな議論となっている。保健省の人口委員会は「この避妊法で人口を380万人減らせる」と訴えるが、避妊や中絶に反対する団体は反発している。
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皮下インプラントとは、排卵を抑える働きのある黄体ホルモンが入った小さなチューブを女性の上腕に埋め込み、黄体ホルモンを血中に放出する避妊法。皮下インプラントに詳しい日本家族計画協会の北村邦夫理事長によると、製品によって3~5年の避妊効果が期待できるという。取り外しも可能。日本での使用は認められていない。
フィリピンでは約10万人に使用経験がある。しかし、避妊や中絶に反発する団体から嘆願書が出され、2015年に最高裁が使用・製造・販売を一時停止する命令を出した。
現在、未使用の薬剤が2億6千万ペソ(約5億9千万円)分保管されたままで、まもなく使用期限を迎えるという。比人口委員会は「若い女性が、安全で人気のある避妊方法を選べずにいる」と主張。使用再開が認められなければ、今後6年で380万4千人の人口増加につながると警告している。
同委によると、現在約1億400万人のフィリピンの人口は、2022年に約1億1014万人に達する見通し。また、15年以降、望まない妊娠は50万件あったとしている。(ハノイ=鈴木暁子)