米紙ニューヨーク・タイムズは19日、トランプ米大統領がロシアのラブロフ外相らと会談した際、解任した連邦捜査局(FBI)のコミー前長官を「本当に変人」と呼び、解任について「私は大きな圧力を受けていたが、取り除かれた」などと発言していたと報じた。会談要旨をまとめた公式文書に記されているという。
トランプ政権は、コミー氏解任の理由を、大統領選の民主党候補、クリントン元国務長官をめぐる私用メール問題の対応のまずさとしていた。報道が事実であれば、トランプ氏は、大統領選にロシアが介入した問題に関するFBIの調査を「圧力」と感じて解任したとの見方が強まる。
米司法省が任命したマラー特別検察官は、解任の背景にFBIの捜査を妨害する「司法妨害」の意図があったかを調べる見通しで、調査の行方に大きな影響を及ぼす可能性もある。
報道された会談要旨によると、トランプ氏はコミー氏を解任した翌日の10日、ホワイトハウスでラブロフ氏やキスリャク駐米大使らと会談。2人に「FBI長官をクビにした。狂っていて本当に変人だ」と発言。「ロシアのせいで、私は大きな圧力を受けていたが、それが取り除かれた」「私は捜査の対象になっていない」などと伝えたという。
これに対し、スパイサー大統領報道官は声明で、報道の真偽に触れず、「私的で極秘の会話がリークされ、国の安全保障が弱められている」と批判。「コミー氏が捜査で目立ちたがり、政治問題化してロシアと交渉する我々に余計な圧力をかけた」と語った。
一方、米議会上院の情報委員会は19日、コミー氏が公開で証言することに同意した、と発表した。29日のメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)後に公聴会を開く方向で調整しているという。(ワシントン=香取啓介)