ロシア反ドーピング機関について説明するWADAのリーディー委員長(右)とニグリ事務総長
国家ぐるみのドーピング問題で2015年11月から不適格となっているロシア反ドーピング機関(RUSADA)が、11月にも世界反ドーピング機関(WADA)から再認可される可能性が出てきた。18日にカナダ・モントリオールであったWADAの理事会で、「(組織改革が進み)検査再開に向けての基盤ができた」と報告された。
WADAによると、RUSADAは他国からの専門家2人の指導の下、新しい組織づくりに着手し、職員の入れ替えが進んでいる。英国やフィンランドの反ドーピング機関の協力を受けながら検査員を養成し、セミナーを実施するなどドーピング教育の強化もしているという。
独立性が担保された人物の監視部門トップの就任や、外国人の立ち入りが禁止されている閉鎖都市への検査官の受け入れなど四つの条件を満たせば、WADAは監視の下での検査活動再開を認めることにした。RUSADAは今月末の会議での正式決定を目指し、早ければ6月から検査が再開できる見通しだ。
WADAは11月の理事会に向け、RUSADAの組織改革をさらに進める方針。WADAのクレイグ・リーディー委員長(英)は「(検査再開は)全面復帰に向けてとても重要」と話す。
また、陸上女子棒高跳びの世界記録保持者でRUSADAの監視部門トップのエレーナ・イシンバエワ氏は退任する。(遠田寛生)