「正直言って、甲子園の高校野球よりすごい」というバスケットボールの全米大学選手権に、日本人として初めて出場し、準優勝した八村塁＝１９、ゴンザガ大＝が、日本に帰ってきた。７月には、エジプトで行われる１９歳以下（Ｕ１９）のワールドカップ（Ｗ杯）に日本代表として出場する。１９日に東京都内で行われた会見で、「高いレベルの中で毎日練習していたので、すごい自信がついた」と八村。ＮＢＡ（米プロバスケット協会）入りを目指す逸材に、日本バスケ界からも熱い視線が注がれる。

ベナン出身の父親と日本人の母親を持ち、２０２センチ、９８キロと恵まれた体格の八村。宮城・明成高で１年生から主力として活躍し、全国高校選抜優勝大会で３連覇を達成。卒業後にバスケットボールのＮＣＡＡ（全米体育協会）１部の米ゴンザガ大に進学し、１年生からメンバー入りを果たした。

ＮＣＡＡには学業で基準の成績を収めなければ試合に出られない規則があり、渡米１年目の八村は、チームから英語の習得と単位取得を最優先するよう命じられていた。試合の出場時間も限られていたが、全米大学選手権のザビエル大との準々決勝では終盤に途中出場し、３点シュートに成功。ゴンザガ大は初の４強入りを果たした。

毎年３月に行われるバスケットの大学選手権は「マーチ・マッドネス（３月の熱狂）」と呼ばれるほど人気だ。特に４強による「ファイナル４」は全米の注目を集める。八村は「正直言って（日本の高校野球の）甲子園よりはるかにすごい。街を歩いていても地方に行っても声をかけられる。すごい経験だった」。日本協会の東野智弥技術委員長も「長くバスケットをやってきたが、日本人がＮＣＡＡのファイナル４でプレーするイメージなど今までなかった」と驚く。

ノースカロライナ大との決勝は出番がなかったが、終盤でチームのファウルがかさんでいたため、コーチから「準備しろ」と指示されていたことを明かし、「そういう決勝の中で気持ちの準備をすることはふつうの試合ではできないのでよかった」と話した。

日本が１８年ぶりに出場するＵ１９のＷ杯には、八村が目標にしているＮＢＡの候補らが世界から集まるが、八村は「チームの勝ちを優先して考えている。日本のバスケがどれほどすごいのか世界に見せられたらいい」。２０２０年東京五輪に向けて日本代表の主力としてもすでに期待されているが、「まず代表にしっかり入ること。そこから日本のバスケのためになるようにしっかり自分のプレーをしたい」と謙虚だ。（伊木緑）