東本願寺境内で歌う李香蘭(本願寺提供)
戦前から戦中にかけて女優や歌手として活躍した李香蘭(りこうらん、山口淑子さん、1920~2014)が東本願寺(京都市下京区)の境内で歌う姿を撮影したフィルムが見つかった。当時の東本願寺法主で映画愛好家だった大谷光暢(こうちょう)さん(1903~93)のコレクションの一つで、専門家は珍しい映像だと指摘している。
映像はモノクロで約6分間。李香蘭は洋服に帽子姿で、「荒城の月」と中国語の歌「何日君再来(いつの日君またかえる)」を伸びやかなソプラノの声で歌っている。
光暢さんの四男で本願寺(京都市右京区)の法主、光道(こうどう)さん(72)によれば、李香蘭が歌った場所は当時、光暢さんたちが暮らしていた東本願寺境内の「内事(ないじ)」と呼ばれる居宅近くや庭だという。
撮影時期は不明だが、映像のタイトルに「満映スター」「コロムビア専属歌手」と記されており、レコード会社のコロムビア(現日本コロムビア)に移籍した40年7月から、映画会社の満州映画協会を退社する44年秋までの間に撮影された可能性が高い。「荒城の月」と「何日君再来」は、39年の映画「白蘭(びゃくらん)の歌」の中でも李香蘭が歌っている。
光暢さんは当時貴重だった35…