バチカンで24日、トランプ米大統領(左)を握手で迎えるローマ・カトリック教会のフランシスコ法王=AFP時事
イタリアを訪問中の米国のトランプ大統領は24日、バチカンでローマ・カトリック教会のフランシスコ法王と初会談した。2人は昨年の米大統領選期間中、移民問題などをめぐり批判の応酬をした「因縁の仲」だが、ローマ法王庁の発表によると、会談では中東を含む世界情勢などについて意見交換した。法王はトランプ氏に世界平和の実現を願うメッセージを託した。
中東歴訪を終えてローマ入りしたトランプ氏は24日午前、法王との初会談に臨んだ。法王は宮殿の書斎の外でトランプ氏を出迎え、かすかにほほえんで握手。やや緊張した様子のトランプ氏はにっこり笑い、「たいへん光栄です」と述べた。約30分に及んだ非公開の会談を終えたトランプ氏は「ありがとうございます。あなたのおっしゃったことは忘れません」と謝意を示した。
法王は米大統領選さなかの昨年2月、排外主義的な移民政策を掲げるトランプ氏を「橋を架けることでなく、壁を築くことばかり考えている人はキリスト教徒ではない」と痛烈に批判。これに対しトランプ氏は「人の信仰を疑問視するのは、宗教指導者として恥ずべきことだ」と応酬した。
また、地球温暖化問題をめぐっても、トランプ氏が「でっち上げ」と断言するのに対し、法王は国際社会が温暖化対策に取り組む必要性を説いてきた。
トランプ氏の訪問に先立ち、法王は「話を聞かずに人を判断することはできない」と対話に前向きな姿勢を示していた。
会談後、トランプ氏は公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の著書「自由への大いなる歩み」の初版などを贈呈。
法王は平和の象徴であるオリーブをあしらった記念メダルを贈り、トランプ氏のためにサインした平和のメッセージや、環境問題について自身の考えをまとめた冊子も手渡した。トランプ氏は「読んでみます」と受け取った。トランプ氏はその後、ツイッターで「私たちの世界でこれまで以上に平和を追求する決心をより強くした」とつぶやいた。(ローマ=山尾有紀恵、佐藤武嗣)