市施設の命名権(ネーミングライツ)の売却先を募る際は、事前に市議会の同意が必要です――。そんな条例改正案が30日、京都市議会で全会一致で可決された。命名権の売却については地方自治法などに規定がなく、多くは自治体の判断で決められている。同市議会事務局は、条例で議決が必要と定めるのは珍しいとしている。
今後、市が主要施設の命名権を売却する際は、利用状況や売却先の募集方法、契約期間などの計画を事前に市議会に提出。実施には、計画をチェックした市議会の同意が必要になる。
市は昨年10月、老朽化した市美術館(左京区)の改修費を賄うため、総額50億円で命名権を京セラ(伏見区)に売却すると発表。今年2月に契約が結ばれ、通称は「京都市京セラ美術館」に決まった。
だが、市民や市議会から「歴史と市民の愛着がある美術館に命名権売却はそぐわない」と批判が出た。
市議会各会派の代表者らは4月に検討会議を設置。命名権売却は市民への影響が大きいとして、「市民の意見を的確に反映させるために議会の関与が必要」との認識で一致した。
市はこれまでに西京極野球場(わかさスタジアム京都、総額2億5千万円)や京都会館(ロームシアター京都、総額52億5千万円)など計12件で命名権を売却している。(佐藤秀男)