昨年の新潟県の中学1年生の平均虫歯数は0・44本で、17年連続で全国最少だったという調査結果を県がこのほど発表した。全国平均(0・84本)より大幅に少なく、「虫歯予防先進県」の地位は、地道な取り組みの積み重ねで保たれている。加えて近年は、虫歯が多いとされる家庭環境に課題のある子どもへのアプローチも進んでいる。
新潟県の虫歯予防策で代表的なのが「フッ素うがい」だ。歯が丈夫になる効果があるといい、弥彦村立弥彦小が1970年に全国で初めて取り入れた。昨年の実施率は県内の小学校で83・9%にのぼる。
虫歯は減り続けており、中学1年の平均虫歯数は80年代に比べ、全国では4分の1、県内では11分の1にまで減った。新潟大学歯学部の葭原明弘教授は「新潟の虫歯対策は、フッ素うがいだけではない」と話す。
給食後などの歯磨き実施率は、小学校が9割以上、中学校も7割以上。中学生ごろに増えるという歯肉炎対策として、デンタルフロスの指導を8割以上の小中学校で行っている。検診で虫歯の恐れがあると判断された子どもに受診を促し、必要に応じて歯の溝を埋める治療を施すこともある。
日常から歯に関心を持たせる取り組みもある。医師やNPOなどによる「はーもにープロジェクト」では10年以上、小学校の文化祭で相談に乗っている。色が変わるガムなどを使い、かみ合わせや歯磨きの方法を指導する。
県歯科医師会は2014年から、虐待を受けるなどした子どもへの対策として、児童養護施設に歯ブラシを贈るほか、歯科衛生士による指導を行っている。稲富道知・常務理事は「歯の健康は習慣で守れる。子どものうちから身につけてほしい」。6月4日からの1週間は「歯と口の健康週間」で、県内各地で無料検診や相談会が行われる。問い合わせは同会(電話025・283・3030)。(狩野浩平)