好日山荘グランフロント大阪店に設けられた、アウトドア初心者向けの売り場=大阪市北区
野外で快適に過ごせるキャンプ用品が、若い世代に人気です。登山や本格的なキャンプだけでなく、イベントや日常生活で手軽に使われることも増えました。道具はオシャレでコンパクトに進化しています。
きりとりトレンド
登山用品を扱う「好日山荘」のグランフロント大阪店(大阪市)には、ファッション性の高い折りたたみイスなどを集めたコーナーが昨秋から常設された。「アウトドアに縁が薄かった層が多く訪れるようになった」(ストアチーフの吉村教匡〈のりまさ〉さん)ためで、若者や初心者らを意識した店づくりにも対応する。
メーカー各社が近年、デザインを重視した商品を拡充している。「山ガール」ブームで登山やキャンプをする女性が増え、野外フェスに参加する若者がユーザーになったことが背景だ。SNSで自分たちが楽しむ様子を発信する機会が増えたこともあるそうだ。モンベル(同市)の広報担当者は「グループで普段と少し違う行動をし、シェアする楽しみ方が受けている」。
キャンプ用品は趣味にとどまらず、日常生活の延長で手軽に使われるようになった。花見や運動会などで活躍し、アウトドア用の飲料ボトルを職場で使ったり、折りたたみイスを自宅内で使ったりする人も珍しくない。東日本大震災や熊本地震の経験から、非常時用グッズとしても注目される。
日本オートキャンプ協会によると、車を使ったキャンプを年1回以上した人は2015年が810万人。ピークだった96年の約半分になったが、オートキャンプの人気が復活しつつあるという。90年代にはキャンピングカーやRV(レジャー用車)に代表された車種は、いまや小型車が主流に。これに伴い、小さくして運べたり、軽い素材を採用したりした商品が支持されている。(伊藤弘毅)
■デザイン性・座り心地追求
ヘリノックスの折りたたみイス「チェアワン」は、デザイン性の高さが若者に受けている。重さ890gで、最大145kgの負荷に耐えられる頑丈さも備える。座面には通気性の良いメッシュ素材を使い、ハンモックのように布地をつり下げる構造を採用して座り心地も追求した。1万1500円。
■凸凹タイヤで運びやすく
コールマンジャパンの「アウトドアワゴン」は、重さ約100kgまでの荷物を運べる。砂利や小石が多い場所でも使いやすいよう、大型の凹凸タイヤを採用した。使わない時は小さく折りたためる。運動会や花見など、キャンプ以外で使う人も多いという。1万1800円。
■保冷バッグ、型は5種類
シアトルスポーツの保冷バッグ「ソフトクーラー」は、ビニール素材で折りたためる。約11~約38リットルと容量ごとに5種類の型があり、色も多彩。今年発売の23Qtは容量約21リットルで、2リットルペットボトルが縦に2本ほど入る設計。重さ800gで、持ち運びに便利な取り外し式ストラップ付き。9300円。
■初心者向けテント
スノーピークの初心者向けテント「アメニティドームM」は、大人2人と子ども3人が寝られる広さ。紫外線をカットし、強い雨にも耐えられる素材を採用した。重さ8kg。設営時に迷わないよう、支柱は設置箇所ごとに色分けした。購入者は各店舗で開かれる設営講習会に参加できる。3万2800円。
※各メーカーの売れ筋商品などから選びました。いずれも希望小売価格で、税別。(きりとりトレンド)