ワシントンで8日、上院公聴会の証言席につくコミー前FBI長官(中央)=AP
「ロシア疑惑」捜査をめぐるトランプ米大統領の密室での言動が、司法妨害にあたるのか――。解任された連邦捜査局(FBI)のコミー前長官が8日、捜査中止の「指示」と受け止めたと上院情報特別委員会で証言したのに対し、トランプ氏側は発言そのものを全面否定。双方の激しい応酬に発展した。今後は司法妨害の解明が、独立性の高い特別検察官の手に委ねられることになった。
「コミー・メモ」の存在認める FBI前長官が証言
2時間40分に及ぶ同委公聴会で質問が集中したのは、駐米ロシア大使との不適切な協議で辞任したフリン前大統領補佐官の捜査をめぐるやり取りだった。
コミー氏は、トランプ氏から「彼は良いヤツだ。この件はやり過ごして欲しい」と言われたと証言。この発言について、「指示と受け止めた。米国大統領が私と2人だけの場で『I hope this(そうして欲しい)』と言ったのだから」と語った。
一方、トランプ氏を擁護する共和党議員は「それは命令だったのか。希望ではないのか」と追及。コミー氏は「言葉としては命令ではない」としつつも、トランプ政権側とロシアとの関係を捜査しているFBI長官への発言であることから「強い懸念を感じた」と述べた。トランプ氏からの一連の発言を圧力と受け止めたとの認識を繰り返した。
こうしたトランプ氏の行為が司法妨害にあたるかどうかが今後の焦点だ。連邦法では、不正に刑事事件の捜査を妨害したり、影響を与えたりする行為が司法妨害と規定されている。
米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、司法妨害を立証する上で重要なのは、捜査などの司法を妨害する目的で行動したのかの「意思」の有無だという。大統領は国家安全保障にかかわれば捜査中止を要求することも考えられるが、今回のケースでは、公的な義務ではなく個人的な動機だったのかどうかが問題になるという。
公聴会で共和党議員は「希望を…