政府は9日、消費の動向やトラブル、施策をまとめた2017年版「消費者白書」を閣議決定した。長引く経済の低成長を背景とする「若者の節約志向」が浮かび上がった。
白書によると、消費者庁が昨年度に実施した「消費者意識基本調査」で「お金を掛けたいもの」を複数回答で聞くと20、30代では「貯金」を挙げた人が7割近くで一番多かった。「買う前に品質・価格等を十分に調べる」について「かなり当てはまる」とした人も、全体の17・3%に対し、10代後半で21・6%、20代23・9%と高かった。
白書では、総務省が5年ごとに行う「全国消費実態調査」における30歳未満の単身世帯の消費支出も分析。2009年までほぼ横ばいだったが、直近の14年では減少に転じ、ひと月あたり男性で前回比約2万3千円減の15万5619円、女性は同約1万1千円減の16万1811円だった。なかでも洋服やお酒への支出は15年前に比べて男女ともに大きく減っており、男性が自動車関連や外食にかける支出も減っていた。
モノへの支出が減った一方、「若者はコンサート観賞、イベントなど『コト消費』は重視し、SNSに投稿する目的で行う人も多い」と白書は分析。カーシェアなど、インターネットを介してモノや場所などを共同利用するシェアリングエコノミーへの関心も他の年齢層より高かった。