開講式で参加動機や目標を語る2期生のシングルマザーら=東京都新宿区
子どもの貧困解決に向け、企業がシングルマザーに正社員採用の機会を提供する支援に乗り出した。仕事の技能や知識を学べる無料の講座を開き、民間団体と手を組んで暮らしもバックアップする。1期生の女性たちが今月、新たなスタートを切った。
化粧品大手「日本ロレアル」(本社・東京)が、ひとり親支援のNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)と連携し、昨秋始めたプログラム「未来への扉」。スキルアップから正社員採用の機会まで、一貫して設けているのが特徴だ。
職種は日本ロレアルの美容部員(1年目は契約社員)と、同社と協力関係にある総合人材サービス会社「アデコ」のプロジェクトリーダー職。講座は5カ月間に約20回、東京都内で日曜日に開かれる。両社の社員らが講師を務め、託児も無料。運営費は日本ロレアルが支出する。
受講者はパソコン、ビジネスマナーなど共通講座を受けた後、コース別に分かれる。美容部員なら皮膚の知識や接客、リーダー職ならチームワークや感情コントロールなどを学び、職場見学もする。
修了後、採用を望むかどうかは自由で、他の転職先を見つける受講者もいる。採用の特別枠はなく、通常の基準で選考される。1期生は美容部員に応募した人の4割が日本ロレアルに採用され、今月、働き始めている。
千葉県の原博子さん(47)もそのひとり。4月に都内であった講座の修了式で笑顔を見せた。「受講前は『口角を上げて』と言われても、顔がこわばった。同じ境遇の仲間と学び、成長し、今は自分に伸びしろがあると実感できる」
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