パンダの赤ちゃんの育ち方
東京・上野動物園に、5年ぶりにパンダの赤ちゃんが誕生した。元気いっぱいの鳴き声に、見守ってきた人たちに笑顔がこぼれた。
上野動物園のパンダ、シンシンが出産 5年ぶり
特集:どうぶつ新聞
「感無量です」。12日午後、記者会見した上野動物園の福田豊園長(57)は、ほっとした表情で言った。
5年前、シンシンが初めての赤ちゃんを産んだとき、福田さんは飼育展示課長として、子作りから出産後の生育状況を一番間近で見ていた。生まれて7日目で赤ちゃんが死んだときは「言葉にならなかった」と言う。
2度目の出産までの道のりは長かった。13年は交尾が確認され、妊娠の兆候はあったが実際には妊娠していない「偽(ぎ)妊娠」、14~16年は交尾に至らなかった。パンダの発情期は年に1度しかなく、メスが妊娠できるのは1~3日だけ。お尻を壁にこする「においつけ」や恋鳴きのタイミングなど、発情の兆候を的確に捉え、同居させる必要があり、繁殖は容易ではない。待望の赤ちゃん誕生に、福田さんは「3カ月くらいは気の抜けない時期が続く。緊張感を持って見守っていきたい」と言葉に力を込めた。
今年3月末まで6年間園長を務めた土居利光さん(65)も喜ぶ。5年前、赤ちゃんが死んだ時の記者会見で、土居さんは言葉を詰まらせ、涙ぐんだ。「ようやく生まれてきた命。丈夫に育ってもらいたい」
地元・上野では、上野観光連盟が準備したパンダのお面が配られ、お祝いムードに包まれた。(西村奈緒美)