107人が死亡し、562人が負傷した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されたJR西日本の元会長井手正敬被告(82)ら歴代社長3人を無罪とした一、二審判決が確定する。最高裁第二小法廷(山本庸幸裁判長)が、12日付の決定で検察官役の指定弁護士の上告を棄却した。事故をめぐる刑事裁判が全て終結することになる。
特集:JR宝塚線脱線事故
他の2被告は、元会長の南谷(なんや)昌二郎被告(75)、元社長の垣内剛(たけし)被告(73)。起訴状では、事故現場を従来より急なカーブに付け替えた1996年の工事や、現場を走る快速が大幅に増えた97年のダイヤ改定で事故が起きる危険性を認識できたのに、自動列車停止装置(ATS)の整備を怠ったとされた。
3人はいずれも、神戸地検に不起訴とされたが、市民からなる検察審査会の2度の起訴相当議決を受け、強制起訴された。13年9月の一審・神戸地裁、15年3月の二審・大阪高裁はそれぞれ、「事故を予見できなかった」として無罪とした。
事故をめぐっては、神戸地検が09年7月、現場が急カーブになった96年当時に鉄道本部長だった山崎正夫・元社長(74)のみを在宅起訴したが、12年1月に一審で無罪が確定している。