アルゼンチンアリ=国立環境研究所提供
南米原産のアルゼンチンアリを根絶したかを評価する方法を、国立環境研究所が開発した。アルゼンチンアリは生態系や人、農作物に被害を及ぼす恐れがあるが、女王アリが多く繁殖力が高いため、確実に防除できたか判断が難しかった。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに13日、発表した。
アルゼンチンアリは茶色で体長約2・5ミリ。人や物にくっついて移動し、海を越えて欧州やアフリカなどに生息域を広げてきた。日本では1993年に広島県で発見され、東京都や大阪府など12都府県で定着が確認。2005年に外来生物法に基づく特定外来生物に指定され、輸入や飼育が原則禁止されている。
国環研や環境省は11年から、都内の2カ所で殺虫剤を使った防除を始めた。約4年間活動を続け、モニタリング調査で個体が確認できなくなったが、もし残っていれば、再び繁殖してしまう。
そこでモニタリングのデータを使って、残存する確率を推定する方法を開発した。その結果、防除を始めて20カ月後から確率は大幅に減り、38~42カ月後には「根絶成功」の基準となる1%を下回った。効率よい防除にも役立つという。
国環研の坂本佳子研究員は「これまでは防除を終えた後で残存個体が見つかった例もあり、根絶できたかの判断が『感覚的』だった部分がある。統計学的な根拠に基づいた手法を広げ、国内根絶を目指したい」と話している。(戸田政考)