種イモを植え付ける生産者=北海道芽室町、池田敏行撮影
今春のポテトチップスの一部販売休止で注目された国内産のジャガイモ。今年の作付けは順調だが、実は、人手不足などで生産量の維持に不安がある。菓子メーカーは支援に懸命だが、日本への輸出増を探る米国も注視する。
北海道十勝地方では、5月までに多くの農家が種イモの植え付けを終えた。芽室(めむろ)町の敬松(けいまつ)明彦さん(47)は約5ヘクタールの畑に植え付けた。昨年は台風で畑が浸水し、収量は例年より2~3割減。芽室町農協全体でも契約するカルビー向け出荷は約3万4千トンで、前年の約4万トンから減らした。
今年は、前年の天候不順で種イモの出来が悪いことが気がかりだ。敬松さんは規格外の小さい種イモまで確保した。「気持ちを新たにしてベストを尽くす」
ポテチ向けジャガイモは北海道産が全体の8割を占める。涼しい気候のもと、大規模栽培できる土地柄だからだ。長崎県や鹿児島県がこれに続く。収穫は九州で5月下旬に始まり、北海道は9月から本格化。めったにないとは言え、北海道が台風禍にあえば、昨年のようにポテチショックにつながりかねない。
今年の生産は平年並みが見込まれている。業界首位のカルビーや2位の湖池屋は春以降に季節商品などのポテチ販売を休止したが、9月にはほぼ全ての商品で再開できるという。
■農家の負担大きく、生産量じわじわ減る