期間限定発売だったカルビーの「ポテトチップス いかにんじん味」。福島の味とうたう(同社提供)
カルビーが、47都道府県別に味を変えたポテトチップスを売り出す。これまでも食品メーカーが定番商品の地域限定版を出す例はあったが、お土産用が主流。カルビーはむしろ消費者の「地元愛」をくすぐって販売増につなげる作戦だ。
カルビーは、この企画を「ラブ ジャパン」と銘打ち、47都道府県別に地元の自治体や企業と、味やパッケージを共同開発する。地域の食文化に根付いた味にする方針で、今夏以降に地元のコンビニやスーパーで販売するという。
昨年、福島県で先行的にこの取り組みを実施した。地元郷土料理でスルメとニンジンの細切りをしょうゆなどで味付けた「いかにんじん」味のポテトチップスを福島市と共同開発。予定数量を1週間で売り切るなどヒットした。伊藤秀二社長は「スナック市場は縮小しており、ポテトチップスから離れた消費者がもう一度手にとるきっかけにする」と話す。
定番商品の地域限定版は、江崎グリコによると、1994年に「ポッキー」の「夕張メロン味」を北海道で販売し始めたのが最初。ただ、こうした地域限定版は、旅行や出張の際の土産用。空港や駅の売店で売られることが多かった。
カルビーが参考にしたのが、キリンビールの取り組みだ。主力ビール「一番搾り」で昨年、47都道府県ですべて味の違う商品を販売。計画の2倍売れた。今春にも順次出し、前年比2割増の320万ケースの販売を見込む。
地元消費を意識した地域限定版も続々と出てきている。アサヒ飲料は昨年、全国を7地域に分けて「十六茶」の「ご当地素材ブレンド」を出し、23万ケースを売り切った。酒造大手の大関も、日本酒「ワンカップ大関」の「名古屋仕立て」「静岡仕立て」を14日に売り出す。各地域の料理に合う味にしているという。(栗林史子、中村光)