名人への道のり
将棋の中学生棋士、藤井聡太四段(14)が26連勝をかけて臨む15日の対局は、第76期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)のデビュー戦だ。将棋界を代表するタイトルである名人をめざす道が始まった。
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藤井四段はすでに竜王戦、棋王戦で挑戦者を決めるトーナメントに進出し、年内に挑戦権を得る可能性がある。だが、名人のタイトルに挑戦するには最低でも5年かかる。五つに分かれているリーグ戦「順位戦」のクラスを1年に一つずつ上がり、名人の挑戦者を決めるA級(最上位のクラス)に入る必要があるためだ。
藤井四段がまず参加するのが、最も人数が多い一番下のC級2組。抽選で決まった10人の相手と1年間かけて戦い、50人(今期)の中で上位3位以内の成績をあげればC級1組に昇級できる。毎年昇級を続ければ、A級に4年で到達できる。そこで1年戦い、1位となれば名人に挑戦できる。
だが、道のりは簡単ではない。順位戦の昇級枠は少ない上、前期の成績によって決まる「順位」も大事になるからだ。
C級2組の中で、初参加の藤井四段の順位は43位と低い。競争相手と勝敗が並んだ場合、順位が上の方が成績上位となる規定があるため、仮に9勝1敗の成績でも、42位以内に9勝1敗の棋士が3人いた場合は昇級できない。この「順位の差」に泣いた棋士は枚挙にいとまがない。
デビューから4年連続でA級まで昇級したのは加藤一二三九段(77)、中原誠十六世名人(69)の2人だけ。羽生善治三冠(46)でも7年かかっている。デビューから5年で名人になった棋士はまだいない。
順位戦の持ち時間は各6時間で、タイトル戦を除くと最も長い。総合力、持久力が問われる長丁場だ。谷川浩司九段(55)以来、中学生として40年ぶりに順位戦を戦う藤井四段は「厳しいリーグだが、最後まで集中力を切らさずに戦いたい。参加するからには昇級を狙いたい」と話す。(村瀬信也)