会見する東京都の小池百合子知事=20日午後3時36分、都庁、山本裕之撮影
東京都の築地市場の移転問題で、昨年8月に移転延期を表明した小池百合子知事が、初めて方向性を示した。豊洲市場と築地市場の両立を打ち出したが、具体的な内容はこれから。移転延期と同様、根回しなしの「小池流」に、都庁職員は困惑し、都議選で対立する自民党は批判を強める。
豊洲移転問題
「築地は守る、豊洲を活(い)かす、ということを基本方針にさせていただく」
20日午後、臨時の記者会見を開いた小池氏は、5年後をめどにした築地市場の再開発と、豊洲市場の機能強化を打ち出した。
当初の計画では、昨年11月に豊洲市場に移転し、築地市場の跡地を売却。約4千億円の売却益で豊洲の整備費を賄うはずだった。
しかし、小池氏は知事就任直後の昨年8月、都幹部や都議会への根回しをしないまま、「安全性への懸念」などを理由に豊洲市場への移転延期を表明した。その後、土壌汚染対策の盛り土がなかった問題が発覚するなど、「安全・安心」が最大のテーマになった。
しかし、この日の記者会見で「これまで吟味されていなかった」と小池氏が強調したのは、市場の経済性だ。今年1月、小池氏が立ち上げた「市場問題プロジェクトチーム」の調査で、豊洲市場の運営費が年92億円の赤字になることが明らかになっていた。
今回の基本方針では、築地の再…