築地市場問題を巡り、東京都が、豊洲市場への移転案、築地での再整備案に加え、市場機能を豊洲に移す一方、築地の跡地を商業利用など他の事業に活用する案を検討していることが分かった。小池百合子都知事は23日告示の都議選前にも移転の可否を判断する可能性があり、これらの案を比較して総合的に判断する方針。
豊洲移転、都議選前に判断か 小池知事が可能性に言及
特集:豊洲移転問題
関係者によると、国際的な知名度も高くブランド力がある「築地」を有効活用しようと、都幹部でつくる「市場のあり方戦略本部」が検討中という。築地市場が豊洲に移転した場合、築地の跡地は売却する予定だが、売らずに民間企業に貸し、観光拠点にする方策などを探っているという。
同本部は、市場の将来の収支などを検討してきた都の有識者会議「市場問題プロジェクトチーム(PT)」のほか、豊洲市場の安全対策を検討する都のもう一つの有識者会議「専門家会議」の意見を検証し、小池氏に報告する予定。その報告に、築地市場を商業施設などに利用する案も盛り込まれる可能性がある。
PTは今月5日、豊洲移転案と築地再整備案を比較した報告をまとめたが、この中で都心部に近い築地の有効活用を提言していた。都は築地の跡地を約4400億円で売り、豊洲市場整備費約6千億円の一部に充てる計画を立てている。だが、小池氏のブレーンである都顧問らから「最終的な売却額が不透明」などの指摘が出ていた。