築地市場内で開かれた東京都の専門家会議=11日午後、東京都中央区、小林恵士撮影
豊洲市場の安全性を検証している東京都の専門家会議(座長=平田健正・放送大和歌山学習センター所長)は11日、有害物質が地上施設に入り込むことを防ぐ土壌汚染対策をまとめた。小池百合子都知事が築地市場の豊洲移転の可否を判断するにあたり、材料にする二つの有識者会議の意見がまとまった形で、判断に向けた作業は大詰めを迎える。
豊洲移転、都議選前に判断か 小池知事が可能性に言及
特集:豊洲移転問題
専門家会議は、豊洲市場の土壌汚染対策の一つだった盛り土が主な施設の下でされていないことが昨年発覚したため、追加対策を検討。市場敷地内の地下水からは今年、環境基準値の最大100倍のベンゼンなどの有害物質が検出されており、その対策も検討していた。
同会議は、土壌が一部むき出しになった市場地下の底面をコンクリートなどで覆う▽市場地下に換気設備を新設▽地下水をくみ上げるポンプ機能を強化して汚染濃度を下げる――などの対策を提言。都の試算では、工事費は35億~80億円、維持管理費(65年分)は市場地下部分の措置だけで25億~40億円。
同会議は、5月に示した対策案に対し、傍聴した市場業者から強い反発が出たことなどから中断していた。11日の審議では対策案を妥当と結論づけた。ただ、今回も業者らからは「移転ありきの議論だ」「環境基準以下にするという約束が果たされてない」などの批判が相次いだ。
小池氏は同日、報道陣に対し「会議が再開されたのはよかった。報告をしっかりうかがいたい」と述べた。今後、都幹部でつくる組織の検証を経て、判断を示すことになる。(小林恵士、別宮潤一)