東京電力福島第一原発事故をめぐって旧経営陣が強制起訴された裁判で、30日に開かれる初公判に、東電が事故前に津波対策を検討した防潮堤の図面が証拠として提出されることが関係者の話でわかった。検察官役の指定弁護士は東電側が津波の危険性を認識していたことを示す証拠と位置づけているとみられ、原発の安全対策について東電で行われた議論の解明につながる可能性がある。
裁判では、業務上過失致死傷罪に問われた東電元会長の勝俣恒久被告(77)、いずれも元副社長の武藤栄被告(66)、武黒一郎被告(71)の3人が巨大な津波の襲来を予見し、適切な安全対策を取っていたかが焦点になる。指定弁護士は、検察が東電などから集めた膨大な資料や調書を引き継ぎ有罪立証にあたる。国や東電の調査とは違う角度から、事故の背景の解明が進むことも期待されている。
関係者によると、検察が東電側から集めた図面は複数あり、うち一つは東電の子会社が2008年4月に作成した。福島第一原発の東側の海岸沿いに防潮堤を設けることを想定し、標高10メートルにある原発を高さ10メートルの防潮堤(頂上部は標高20メートル)で守る内容になっていたという。
政府事故調査委員会の報告書な…