日本原子力研究開発機構が実験で使っていた試料と同タイプのもの。アルミ板の中央にプルトニウムをエポキシ樹脂で固めていた。実験後、アルミ板から外し、ポリ容器に入れた(日本原子力研究開発機構提供)
茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで作業員5人が被曝(ひばく)した事故で、原子力機構は22日、ビニール袋の中で保管されていたポリ容器には、プルトニウムなどの放射性物質の粉末や、粉末をエポキシ樹脂で固めたものなどが入っていたことを明らかにした。放射線によってエポキシ樹脂が分解し、ガスが発生してビニール袋が破裂した可能性があり、原子力機構が詳しく調べている。
原子力機構がこの日、事故の原因究明を進める文部科学省の特命チームの会合で報告した。1991年当時、放射性物質を使った実験やその処理に関わった退職者への聞き取り調査で判明したという。
報告によると、91年当時、X線を使った構造解析などの実験を行っていた。測定の際、アルミ板上にプルトニウム粉末をエポキシ樹脂で固めていた。実験後、そのままポリ容器に入れ、そのポリ容器をビニール袋で包んで保管容器に入れたという。
原子力機構はその後、26年間、保管容器の中を点検しておらず、その間に放射線によって樹脂が分解されてガスが発生した可能性がある。原子力機構は7月下旬にも詳しい事故原因を、原子力規制委員会などに報告する予定だ。
また、規制委はこの日、大洗研究開発センターに23日に2度目の立ち入り検査に入ると発表した。(杉本崇)