日本ワインのシェアは低いが、増加が見込まれる
国内産ブドウだけでつくられる「日本ワイン」に酒造メーカーが力を入れている。訪日外国人の増加で海外での評価が高まり、2020年東京五輪を機に、さらにブームになると期待されている。ただ生産増とともに、ワイン用ブドウの苗木不足が目立ってきた。
アサヒビールは今月、日本ワイン増産のため、北海道余市町に4ヘクタールの農地を確保したと発表した。赤ワイン用の品種「ピノ・ノワール」など約7千本を植え、23年に収穫したブドウがワインになる予定だ。25年までに、全国で日本ワイン向けのブドウ畑を現在の10倍の10ヘクタール以上に広げる。日本ワインの出荷量は25年までに約3倍に拡大する。
サッポロビールは日本ワインの出荷量を20年までに現在の2割増やす計画だ。サントリーホールディングス(HD)は今年の出荷量を1割増やす。
国税庁によると、日本ワインの15年度の出荷量は1万9千キロリットルで、前年比32・5%増。国産ブドウの質や醸造技術の向上で、日本製品に関心が高い訪日外国人や、これまで輸入ワインを愛好していた層にも受け入れられている。
■農家は不安「一過性かも」
日本で生産されるワインは、輸入ブドウなどを使った製品がまだ多く、日本ワインのシェアは5%にとどまる。ただ、ワイン大手メルシャンを傘下に持つキリンHDの推計では、日本ワインの出荷量は20年度に現在の1割増になる見通しだ。
日本ワインの生産増のため、ブドウ畑は拡大傾向だが、苗木が不足している。ワイン用ブドウの苗木は生食用など他の果実とともに生産され、生産者は全国で十数軒にとどまる。
生産者が多い山形県の「菊地園…