会談前に握手を交わす、世耕弘成経産相(右)と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表=29日、ワシントン、代表撮影
訪米中の世耕弘成経産相は29日、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ロス商務長官、コーン国家経済会議議長と会談し、通商問題などについて協議した。ライトハイザー氏は会談後の声明で、「二国間の貿易不均衡を改善する重要性を強調した」として、米国が抱える対日貿易赤字の改善を求めた。
ライトハイザー氏は声明で「日本に対しては、数十年にわたりとても大きな貿易赤字を抱えている」と指摘。そのうえで、4月に始まった日米経済対話を、赤字解消に有効に役立てたいとの考えを示したという。ライトハイザー氏はこれまでも牛肉分野などの市場開放を日本に求めており、今後の日米対話で議題に上る可能性がある。
世耕氏は会談後、記者団に「米国側から貿易不均衡是正の重要性について言及はあったが、具体的な議論はしていない」と話した。米国側は日米二国間の自由貿易協定(FTA)への関心を示しているが、「日米FTAの議論はなかった」という。世耕氏は「今回の結果を踏まえ、日米対話の準備に貢献したい」と話した。
一方、トランプ政権は、通商拡大法232条に基づき、鉄鋼の輸入品が米国の安全保障上の脅威になるかどうかの調査を進めており、今月末に結果を公表する方針を示している。世耕氏はロス氏に対し、「過剰生産の問題などでどういう対処がありうるか、専門的に分析する必要がある」として、慎重な対応を求めた。両国は中国などの鉄鋼の過剰生産問題の解決に向け、協力することで一致した。(ワシントン=五十嵐大介)