野菜をコンセプトにした「カレーハウスCoCo壱番屋セントレア店」。緑色の外観が目を引き、英語と中国語のメッセージも掲げられている=愛知県常滑市
「どうして売れないんだろう」
壱番屋(いちばんや)の海外事業を担う葛原守常務(50)は、中国・上海でため息をついた日々が忘れられない。2004年の暮れのことだ。
「ココイチ」の中国1号店を上海に開いて3カ月が過ぎていた。客の多くは日本企業の駐在員。地元の人は、不思議そうにのぞき込んでいた。葛原さんは食文化の壁に気付く。「カレーライスは中国人にとっては外国料理なんだ」
まずは知ってもらわないと始まらない。新しい食べ物に積極的なのは女性――。そう考えて女性が入りやすい店をめざした。カフェバー風の店を構え、オムレツをのせた明るい彩りのメニューを出した。客足は伸び、クリスマスはカップルでにぎわうようになった。
葛原さんは「カレーライスは日本のソウルフード。一度食べてみれば、おいしいと思ってもらえるはず」。その最初のきっかけをいかにつくるかが大切だとみる。
ココイチは日本では一人勝ちだ。6月末の国内店舗は1257店。ゴーゴーカレーの68店を大きく引き離す。だが少子化が進む国内の先行きは厳しく、海外事業が成長のカギを握る。海外は10カ国・地域に153店まで増やした。
浜島俊哉社長(58)が注目するのはインドだ。巨大な人口を抱えるだけではない。カレーはインドで生まれ、英国経由で日本に伝わったとされる歴史もあるからだ。
社長自ら名付けたのが「インド人もビックリプロジェクト」。1960年代にヒットした、カレールーのCMキャッチフレーズにあやかった。日本で進化を遂げたカレーライスを、カレーの本場インドに伝えるという試みだ。
社長の意を受けた葛原さんは、…