ナショナルズに38巡目で指名されたジェイク・ブーン(米野球サイト「パーフェクトゲーム」提供)
大リーグで活躍した曽祖父、祖父、父、叔父を持つ18歳の高校生が、6月中旬のドラフト会議でナショナルズから指名を受けた。カリフォルニア州のトレーパインズ高のジェイク・ブーン内野手。プロ入りし、メジャーリーグまで昇格すれば、米国では史上初となる4世代連続の大リーガーになる。
ドラフト38巡目、全体でいえば1153番目に指名された選手が、大きく注目を集めることはあまりない。しかし、「名門ブーン家」の遺伝子を受け継ぐジェイクは、米国の各メディアで取り上げられた。
身長178センチ、体重84キロ。右投げ右打ちで、主にショートを守る内野手だ。米野球サイト「パーフェクトゲーム」によると、広角に打ち分けられる中距離タイプの打者で、守備では送球の正確さに定評があるという。加えて、「素晴らしい生徒」という太鼓判も押されている。
父ブレット(48)は、通算252本塁打を放った強打の内野手。イチローが大リーグ入りした2001年から約4年半、マリナーズで同僚だった。同年はイチローが打率3割5分で首位打者に、ブレットが141打点で打点王に輝いた。球宴にも3度選ばれたスター選手だった。
祖父ボブ(69)は元捕手で球宴選出4回。ロイヤルズ、レッズで監督経験もある。曽祖父レイ(故人)は元三塁手で、こちらも球宴に2度選ばれた。父の弟にあたる叔父アーロン(44)は元三塁手で、03年に兄弟で球宴に選ばれている。
高校の学内新聞の取材に、ジェイクは「ウチの一家はみんなが野球をしてきた。僕が2歳で野球を始めたのも自然なことだった」と話している。父がマリナーズに在籍した5歳の時、リトルリーグに入団。その後はカリフォルニア州に移り、祖父の指導を受けて技術を磨いてきたという。
地元メディアは「指名順位が低いこともあり、名門プリンストン大に進学するだろう」と報じている。ドラフト前に大学の施設などを見学し、進学する意思を固めたという。ジェイクのプロ入りは、まだ少し先になる可能性が高そうだ。
米専門誌「ベースボール・アルマナック」によると、3世代連続の大リーガーはブーン家を含めて4例ある。110年を超す歴史を誇る大リーグとはいえ、珍しいケースになる。一方、日本のプロ野球では、2世代連続の長嶋茂雄氏と一茂氏、野村克也氏とヤクルトの克則コーチなどの例がある。昨季限りで広島のユニホームを脱いだ黒田博樹氏も、父の一博氏(故人)が南海などで野手として活躍した。
現役選手では、巨人の内海は祖父の五十雄氏(故人)が前身の東京巨人軍でプレーした。内海の背番号26は祖父の番号でもあった。巨人の堂上剛裕、中日の堂上直倫の兄弟は、父の照氏も中日の元投手だ。(伊藤雅哉)
■ブーン家の大リーグ通算成績
※左から名前、実働年、安打、本塁打、打点、盗塁、打率の順。かっこ内はジェイクとの血縁関係
レイ(曽祖父)1948~1960 1260 151 737 21 .275
ボブ(祖父)1972~1990 1838 105 826 38 .254
ブレット(父)1992~2005 1775 252 1021 94 .266
アーロン(叔父)1997~2009 1017 126 555 107 .263