阪神への入団会見を行ったロジャース
プロ野球は前半戦を終えた。セ・リーグは2位阪神が、2連覇を狙う首位・広島を8ゲーム差で追う。救援投手が安定し、七つの勝ち越しを作ってきたが、広島との差を詰めるための課題は攻撃力になりそうだ。
阪神の金本監督は今のチームを「まだまだ発展途上」という。確かに先発野手を見ると、福留、糸井、鳥谷の「ベテラン」と、中谷、高山、原口といった「若手」に二極分化し、本来なら主力になってもいい20代後半の「中堅」が少ない。経験が少ない若手にも頼らざるを得ないのが現状だ。
そんな中でも、勝ち越しを作って折り返せたのは、救援投手が安定しているからだ。
救援陣はまず「抑え」から決まる。2年目のドリスは、昨年に右ひじを痛めた影響で、再契約が今年2月になった。ただ150キロ超の速球と落ちる球が健在。「投げる機会(九回)が分かる方が、調整しやすい」との理由で抑えになった。現在、リーグ2位の23セーブだ。七回は防御率0・72の桑原、八回は同1・75で昨季の抑えマテオがつなぐ。更に高橋、藤川の実績ある2人が控え、監督は「ほぼ完璧な陣容で戦えた」と目尻を下げる。
広島を追うために必要なのは攻撃力だ。相手の先発投手を攻略し、盤石の救援陣に託す展開が望ましい。後半戦の打線で「起爆剤」となりそうなのが、西岡と新外国人のロジャースだ。
昨年7月20日の試合中にアキレス腱(けん)を断裂した西岡は、1軍復帰が近い。2軍の公式戦でも打率を3割台後半に乗せ、試合勘を取り戻した様子。本職の二塁、遊撃だけでなく、外野も守れ、野手陣の競争をさらに激化させそうだ。
今月6日に来日したロジャースも、国内での就労ビザが発給され、2軍の試合に出始めた。得点力に乏しい打線の中で、高野球団本部長は「中長距離を打てることに期待している」。
12年ぶりのリーグ優勝はまだ可能な位置にいる。実現するには、制球に苦しむ藤浪の復帰も含め、後半戦でどれだけ戦力を上積みし、前半に経験を積んだ若手と融合させることができるかがカギになる。
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14日にはナゴヤドームでマイナビオールスターゲーム第1戦があり、セはバルデス(中)、パは千賀(ソ)が先発する。15日の第2戦はゾゾマリンで開催予定。両リーグは、17日から再開する。(井上翔太)