東芝の上場維持を巡る経緯
経営が悪化している東芝の株式が8月1日、東京証券取引所第1部から2部に降格される。東芝は2017年3月期決算で自己資本がマイナスの債務超過になる見通しで、東証の基準に抵触した。東芝は来年3月末までに半導体事業を売却して財務を改善したい考えだが、まだ17年3月期決算を発表できておらず、上場廃止のおそれもある。
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2部降格と同時に、東芝株は日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)の対象から除外される。年金資産などを運用する金融機関などの投資対象ではなくなり、株価に下落圧力がかかりかねない。綱川智社長は6月の記者会見で「信用力が低下しないよう気をつけたい」と話していた。
東芝は洗濯機やテレビなどの家電からパソコン、原子力発電関連まで手広く扱い、長く日本経済を支えてきた。バブル期の1989年には株価が1500円台の高値をつけた。しかし最近は、不正会計や決算発表をめぐる監査法人との対立が続き、株価が低迷。不透明感から売りが先行していた。一時的なもうけをねらった投機的な売買で乱高下することもあった。31日の終値は前営業日より6円80銭高い246円だった。
東芝株は不正会計問題を受け、15年9月に東証から内部管理体制に改善が求められる「特設注意市場銘柄」に指定された。東証は内部管理の改善状況など上場にふさわしいかの審査を続けており、これまでの不正会計や決算発表延期の経緯から、上場が維持されるかは不透明だ。
東芝は正式な決算書類の「有価…