遭難者を検知するシステムのイメージ
11日は「山の日」。登山を楽しむ人も多い季節だが、自然は危険と隣り合わせ。北アルプスがある富山県のメーカーや県立大学などがいま、鳥獣被害対策に使われてきた電波を遭難者の救助に活用するシステムの開発に取り組んでいる。携帯電話の電波が通じない山奥の遭難者の早期発見に期待がかけられている。
8・11「山の日」特集
山の遭難者が警察などに救助を求める際に多く使うのは携帯電話やスマートフォンだ。ただ、総務省によると、携帯電話の700メガ~3・5ギガヘルツの電波では障害物に跳ね返り、「圏外」となって通じない場合がある。そこで同省は昨年、農作物の被害対策のためにサルなどにつけてきた発信器の150メガヘルツの電波を人の位置の検知にも使えるよう省令を改正。この電波だと送信できる情報量は少ないが、険しい地形でも回り込む特性があり、遠くに届きやすいという。
同省北陸総合通信局は遭難者の居場所を検知するシステムの開発を、富山県立大の石坂圭吾准教授(電波工学)に委託し、北陸電気工業(富山市)とスポーツウェアメーカーのゴールドウイン(同県小矢部市)が協力。リュックに内蔵したアンテナにつなぎ、GPS(全地球測位システム)で得た位置情報を数分おきに送受信できる端末を作った。長さ約15センチ、幅約9センチ、厚さ約3センチで、重さは326グラム。液晶画面付きで緊急時には定型文も送受信でき、同じ端末を山小屋などに置いておけば、登山者の位置を把握できる。
石坂准教授が昨年10月と今年…