待機児童数、認可保育施設の利用希望者数、定員数の推移
認可保育施設に入れない子どもたち(待機児童)が4月1日時点で2万6081人いた。前年の同時期より2528人多く、3年連続で増加した。認可施設に入れなかったのに数字に含まれない「隠れ待機児童」も6万9224人いて、前年から増えた。働く女性が増えて若い世代が多い都市部を中心に需要の伸びが加速し、政府が目指す「待機児童ゼロ」が遠のいている。
厚生労働省が1日、公表した。保育の受け皿の整備は進み、4月1日時点の認可保育施設の定員は計273万5238人で前年より10万728人増えた。一方、利用希望者も9万635人増え、過去最高の265万100人になった。
利用希望者を満たす定員数があるが、ミスマッチが起きている。年齢では0~2歳児を受け入れる施設が特に足りず、待機児童の88・6%がこの年齢に集中。また、厚労省の担当者は「地域によって希望者が偏っていることも待機児童の増加につながった」と分析する。
都道府県別では東京の8586人が最多で、全体の32・9%を占めた。沖縄2247人、千葉1787人、兵庫1572人、福岡1297人が続いた。沖縄が多いのは、元々受け皿整備が遅れているうえ、出生率が国内で高いことが要因だ。待機児童を抱える市区町村は420で、前年より34増えた。東京都世田谷区が5年連続で最も多く、前年から337人減の861人だった。
厚労省は待機児童の定義について、「実態とかけ離れている」との批判を受け、今年度から育児休業中でも復職の意思がある場合などにも拡大した。ただ、全面適用は来年4月からで、今回は全国1741市区町村のうち168が旧来の定義で数えた。
「隠れ待機児童」は①自治体が独自で補助する認可外施設に入った②親が育児休業中③特定の保育所のみを希望した④求職活動をやめた――の四つの理由で待機児童から除かれた子どもの数を集計した。今回は初めて公表した前年を1870人上回った。
政府は2013年度からの「待機児童解消加速化プラン」で、今年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げ、受け皿の整備を計画以上に進めてきた。だが、女性(25~44歳)の就業率が想定以上に伸びて利用希望者が急増。6月に目標達成時期を20年度末まで3年間先延ばしし、この間に22万人分の受け皿を追加で増やす新計画を打ち出している。(西村圭史)