スペインのバルセロナで17日、歩道に突っ込んだ白いバンと警戒を続ける警察官ら(顔にモザイク処理をしています)=EPA時事
スペイン北東部バルセロナの繁華街で17日午後5時(日本時間18日午前0時)ごろ、バンが歩道に突っ込み、少なくとも13人が死亡、約130人が負傷した。ラホイ首相は「ジハーディスト(聖戦主義者)のテロだ」と述べ、イスラム過激派の犯行だとの見方を示した。約120キロ離れた地中海沿岸の街でも18日未明、車が歩行者に突っ込んで1人が死亡した。犠牲者が計14人にのぼる事件は、同一グループによる連続テロの可能性がある。
バルセロナでテロ、車暴走し13人死亡 ISが犯行声明
スペイン政府、テロと断定 別の街でも計画、5人を射殺
バルセロナの現場は、高級ブティックやレストラン、土産物店が並ぶ繁華街ランブラス通り。パリのシャンゼリゼ通りのような観光名所にあたる。
地元メディアによると、犯行に使われたのはバルセロナ近郊で貸し出されたレンタカーで、車内からモロッコ人の男の身分証が見つかった。ただ運転していた男は逃走した模様だ。
さらに18日未明、バルセロナの南西約120キロの街カンブリルスで、車が市民や警官に突っ込み、女性1人が死亡した。車に乗っていた5人は警官隊に射殺されるなどして死亡した。偽の自爆ベルトを身につけていた容疑者もいたという。
地元当局によると、二つの事件での死傷者の国籍は34にのぼる。在バルセロナ日本総領事館によると18日正午(同午後7時)時点で日本人が巻き込まれたとの情報はないという。
一方、地元警察はバルセロナの南西約200キロの街アルカナルで16日に起きた住宅でのガス爆発についても捜査に乗り出した。1人が死亡した現場からは大量のガスボンベが見つかり、スペイン人の男が拘束された。テロに使う爆発物を準備していた疑いがあるとみられるという。
スペイン紙エルパイスは「一連の事件には関連がある」という捜査関係者の見方を伝えた。この関係者によると、犯行グループは計12人とみられる。このうち、容疑が明らかでない男も含めて4人が拘束され、5人が射殺された。当局は残るメンバーを追っている。
容疑者の動機や背後関係などは明らかでないが、過激派組織「イスラム国」(IS)系メディアのアマク通信は17日夜、「バルセロナでの襲撃は、有志連合国に対する攻撃要請に応じ、ISの戦士たちが実行した」とする記事をインターネット上で発信した。犯行の具体的な内容や犯人に関する情報などには言及していない。ISが存在感を示すため、一方的に犯行への関与を主張した可能性もある。(バルセロナ=青田秀樹、ドバイ=渡辺淳基)