北朝鮮がトランプ米政権の発足後、初めての核実験に踏み切った。米国の首都を直接攻撃できる核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成が現実になりつつあるなか、米国や日中韓などの国際社会はどう対応するべきなのか。いずれのシナリオにも困難が待ち受けている。(編集委員・佐藤武嗣、ワシントン=峯村健司、ソウル=牧野愛博、北京=西村大輔)
北朝鮮、6度目の核実験 人工地震とみられる揺れ観測
■シナリオA 圧力強化なら?
「北朝鮮の政策を変えるために圧力を強めていく、政策行動を変えさせる。そのことが大事だ」。菅義偉官房長官は3日、北朝鮮の核実験実施を受け、原油の取引規制を含む対北制裁を強化する考えを強調した。
米国が北朝鮮への軍事攻撃に踏み切れば、日本や韓国が北朝鮮からの反撃を受け、甚大な被害は避けられない。一方、挑発を加速する北朝鮮との対話に米国が応じたところで、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄する保証はない。トランプ米政権もそんなジレンマから、対北経済制裁など圧力強化に力点を置いてきた。
マティス米国防長官は8月末、「我々は外交的解決を決してやめていない」と発言している。日米両国が制裁強化によって圧力を強めることで、朝鮮半島の非核化に向けた対話に応じるよう北朝鮮に迫る構えだ。
米政府は、石油の禁輸を最も有効とみている。韓国政府関係者によれば、北朝鮮には年70万~90万トンの原油需要がある。中国から約50万トン、ロシアから20万~25万トン、残りを中東諸国などから輸入している。非常用の備蓄量は約100万トンとみられている。
石油を禁輸とすれば、中長期的に軍の車両や航空機が使えなくなるとみる。国連安全保障理事会で北朝鮮への石油禁輸を盛り込んだ追加制裁決議を提案することを検討している。
ただ、安保理は8月に石炭の全…