徳島県鳴門市の徳島自動車道で8月25日、停車中のマイクロバスに大型トラックが追突し、高校生ら16人が死傷した事故で、トラックを運転していた菊池誉司(たかし)容疑者(50)が、事故当時について「眠かった」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。捜査の結果、運行計画や勤務実態に無理はなく、県警は事故当時の状況をさらに調べるため、6日に現場検証を行う。
進学の夢、暗転…衝撃音に流血と叫び声 徳島道バス事故
県警などによると、菊池容疑者は25日午後1時ごろ、生活雑貨を積んだトラックで愛知県小牧市から松山市に向かって出発。午後5時ごろ、眠気を感じながら現場付近に差し掛かり、制限速度を20キロ超える時速90キロ前後で車線を逸脱し、減速しないままマイクロバスに追突したとみられる。
バスは前方に約40メートル押し出されて道路脇の斜面を横転、最後列右側に乗っていた徳島県立富岡西高校1年の森下汐音(しおん)さん(15)と、車外にいたとみられるバスの運転手の岡本勉さん(30)の2人が死亡した。県警は菊池容疑者を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで現行犯逮捕、送検した。
一方、岡本さんは故障したバスを路側帯に止めた後、路上に発炎筒や停止表示板を置かず、約30分間にわたって乗客を車内で待機させていた。また、勤務先の阿波中央バス(徳島県阿波市)には電話で報告したが、NEXCO西日本や県警に状況を連絡していなかった。このため県警は、岡本さんが運転上必要な注意を怠ったとみて、自動車運転死傷処罰法違反容疑を視野に捜査を進めている。(三上元)