KAGAYAさん=東京都新宿区、高橋雄大撮影
宇宙と神話の世界を描くアーティストのKAGAYAさん(49)。富士山から南極に至るまで星空を追いかけ続け、撮影した写真を投稿する自身のツイッターアカウントは、40万人を超えるフォロワーを抱える。昨年の七夕にアップした天の川の投稿は、6万超のリツイート、11・5万のいいねを獲得するなど話題となった。小学生のころから月や夜空に魅せられ続けているというKAGAYAさんに、夜空や月を撮るポイントなどを聞いた。(聞き手・石川達也)
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スマートフォンは、まだあまり感度がよくないですが、月や星空を撮れないことはないです。
風景と星空を撮る場合、完全に暗いと難しいです。月はただ光っているだけで模様も形も写らず、星はまず撮れません。空に明るさが残っている夕暮れごろに撮ると、きれいに写ります。金星が出ている明け方を狙うと、感度がないスマホでも手持ちで撮れます。
割といけるのが、天文台などの望遠鏡をスマホのレンズでのぞかせて撮る方法。望遠鏡のレンズと平行にさえなっていれば、すごいきれいに月が写せます。平行に当てるための器具も売っています。
コンパクトデジタルカメラなら、三脚さえあれば、夜空や花火がかなりよく撮れます。
難しいのがピント合わせ。オートフォーカスがなかなか効きません。ほとんどのカメラは、マニュアルフォーカスができるので、無限大に合わせる必要があります。ピントが無限大に合った状態で、しぼりは解放、感度は1600~3200、露出は20~30秒で星がきれいに撮れます。ツイッター(@KAGAYA_11949)では撮り方のコツを紹介することもあります。
月の暗い部分が地球の照り返しで光る「地球照」を撮りました。肉眼でもうっすら見えます。しかし、撮影すると、暗い部分の模様が飛んでしまいます。
スマホでも撮れると思います。月自体が小さくなりますが。望遠レンズ付きのカメラなら、三脚を使って撮れます。明るい部分にピントを当てれば、オートフォーカスで撮れます。
三日月は出ている時間が短いので、見つけたらラッキーです。西の空の低い位置にあり、見応えがあります。狙っていないとなかなか見られません。
満月は一晩中出ています。空の低い位置にある、昇りたての満月は大きいので見ごたえがあります。
いつ月が見えるのか、どんな形をしているのかをあらかじめ調べておくと、楽しみがぐんと増えます。
国内の撮影は年間40~50回ほど、海外には3、4回行きます。午後にロケハンをして、撮影ポイントを決め、夜から明け方まで撮影をします。夜は真っ暗になるので、明るいうちの確認が絶対に必要なんですよね。どんな風景なのか、撮影ポイントまでの道のりなどの確認は、昼間でないとできないので。
ツイッターは2011年に始めました。スタジオで一緒に制作をしている女性が、勝手に私のアカウントを作って、半ば強制的によく分からないまま始めたのですが、本当によかった。ツイッターのフォロワーは40万人を超えていますが、自分でもびっくり。どうしてこんなにすごい数にまで増えたんだろうと思っています。
ツイッターに写真をアップしたら、即座に反応が得られます。今までになかったライブ感というか、今目の前に見えている「すごい」と思った星空について、共感の声がいただけます。
ツイッターは「今、何が起きているのか」というメディア。天体の現象も「今、起こっている」というのが大事なイベント。天体現象を伝えるにはツイッターは最適なメディアです。デジタルカメラやツイッターがあるこの時代に生まれてよかったなぁと思います。
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〈KAGAYA〉 1968年、埼玉県生まれ。絵画制作をコンピューター上で行う「デジタルペインティング」の世界的先駆者。宇宙と神話の世界を描いた画集「スターリーテイルズ」などを出版、プラネタリウム番組も手がける。写真集に「星月夜への招待」「天空讃歌」。夜空の写真をアップするツイッター「@KAGAYA_11949」は、フォロワー数が40万人を超える。