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筧被告、気さくな顔と「殺めた」のギャップ 青酸不審死

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-10-12 12:47:04  点击:  切换到繁體中文

 

写真・図版


耳が聞こえにくいとしてヘッドホンをつけて最終論告に聴き入った筧千佐子被告=京都地裁、絵・岩崎絵里


京都、大阪、兵庫で起きた連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた筧(かけひ)千佐子被告(70)=京都府向日市=の京都地裁での裁判員裁判は11日、弁護側が最終弁論で、被告が被害者を殺害した証拠はないなどとして、起訴された4事件すべてで無罪を主張した。6月26日以来続いていた裁判は結審した。判決は11月7日に言い渡される見通し。


中川綾子裁判長に最終陳述を促されると、筧被告は「すべて弁護士に任せてあり、私から言うことはありません」と、手にしたA4判の紙を読み上げた。


筧被告は夫と3人の交際相手を殺害、あるいは殺害しようとした罪に問われ、検察側は10日の最終論告で死刑を求刑した。弁護側は、被告が被害者を殺害した証拠はなく、病死した可能性もあると指摘。法廷で被告の発言が二転三転したことも挙げ、「認知症で訴訟能力もない」と無罪を主張した。


検察側が死刑を求刑した10日、入廷した被告のシャツに目を見張った。明るい黄緑色。6月26日の初公判以降、黒やグレーの地味な装いがほとんどだった。極刑が予想された求刑を前に、服選びに気が回らないほど余裕を失っていたのだろうか。


30分にわたった最終論告を、被告は机に両ひじを突き聴き入った。だが、「自らの命をもって償わせるほかはない」と検察官の声が響くと、両手をスッとひざの上にそろえた。


一連の事件は何だったのか。初公判から108日、37回の公判をすべて傍聴した。


高校の同窓会で「吉本新喜劇の人みたいね」と言われたという被告。法廷での姿は、どこにでもいる気さくなおばちゃんという印象だ。弁護側が昼食に何を食べたか尋ねたときは「別に記憶に残るようなもの食べてませんよ」と即答。人を食ったような言葉を連発し、傍聴席から笑いが漏れる場面もあった。


そんなところに、独り暮らしの高齢男性がひかれたのだろうか。結婚相談所で被告と知り合った3人の男性は法廷で「一緒になりたかった」と証言。夫の勇夫さんが結婚後「本当に楽しい日々」と被告に送ったメールも法廷で紹介された。


検察側は、勇夫さんら被害者が亡くなった直後、被告が遺産を取得し、借金返済などに充てていたと指摘した。被告も「私が殺(あや)めた」「毒を飲ませた」と犯行を認め、「一日も早く死刑に」と訴えた。だが、認知症の影響があるとはいえ、繰り返すのは他人事のような発言ばかり。被害者への謝罪や悔悟の気持ちが語られることはなかった。


非情な犯行と明るい性格。そのギャップが、傍聴を通して気になっていた。


ずっと審理を見ていた裁判員も、似た思いを抱いたのかもしれない。「反省していますか」「遺族への思いは」。9月末の最後の被告人質問で繰り返し尋ねた。被告は「少女ドラマのようなことを聞かないで」と感情をあらわにした。


公判の終盤、遺族らが意見陳述に。死刑を求めただけでなく、「(被害者に)手を合わせて欲しい」「謝罪して」と訴えた。その様子を、被告は表情を変えずに眺めていた。


法廷では、被害者が倒れた際に、被告が自ら救急車を呼ぶ音声記録が流された。このとき、どんな気持ちで被害者を見つめていたのだろう。(安倍龍太郎)




 

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