11日午後、沖縄県東村で米軍ヘリが炎上したとみられる様子。大きな炎とともに、黒い煙が立ち上っている=ツイッターから
11日午後5時半ごろ、沖縄県東村(ひがしそん)高江で米軍機らしきものが墜落した、と住民から119番通報があった。防衛省によると、米軍の大型輸送ヘリコプターCH53が午後5時15分ごろ、基地外の民有地の牧草地に不時着し、炎上、大破した。消防や米軍が消火に当たった。住民や乗組員7人にけがはなかった。
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小野寺五典防衛相は「米海兵隊所属のCH53が着陸した際に火を噴いた」と説明した。CH53は2004年8月に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)近くの沖縄国際大学に墜落する事故を起こしている。
米海兵隊は「飛行中に火災が発生し、緊急着陸した」と発表した。
県によると、現場は県道70号のすぐ近くで、約2キロ北には高江小学校がある。翁長雄志(おながたけし)知事は那覇市内で記者団に「昨年の(オスプレイが大破した)事故から1年もたたないうちに、再び県内で事故を起こしたことに強い憤りを感じる。基地があるが故の事故。事故原因の徹底的な究明と早急な公表、原因究明がされるまでの同型機の飛行中止を強く要請する」と述べた。事故現場を訪れた東村の伊集盛久(いじゅせいきゅう)村長は「起きてはいけない事態。遺憾だ。関係機関に強く抗議したい」と話した。
高江地区の周辺には「米軍北部訓練場」があり、昨年末までに、訓練場の半分以上を返還する条件としてヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)6カ所が移設された。沖縄防衛局などによると、うち2カ所は15年2月、別の2カ所は今年7月から米軍が使い始めた。周辺はヘリや輸送機オスプレイが頻繁に飛行している。
沖縄では昨年12月、普天間に配備されたオスプレイが名護市沖に不時着水しようとして大破する事故が起きた。8月には普天間のオスプレイが豪州沖で訓練中に墜落して3人が死亡したほか、奄美空港や大分空港などにオスプレイが緊急着陸するトラブルが続いている。
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〈CH53〉 大型輸送ヘリコプターで、垂直離着陸輸送機オスプレイなどとともに米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている。全長約30メートル、高さ約9メートルで、最大55人を運ぶことができる。